別府の町から空を踏んで帰った由布岳の仙人
どんな伝承か
大分県の別府の西に由布岳という高い山があり、昔から由布ヶ岳の仙人と呼ばれる名の知れた仙人がいた。嘉永元年、この仙人が山から別府の町へ下りて来た。木の葉を綴った物をまとった八十歳ほどの白髪の老人の姿で、白髪は五尺にも達していた。仙人は町をひと巡りし終えると、ひょうひょうと空を踏んで由布岳の方へ昇って行き、その姿は見えなくなったという。
原典より
町を一週し終りて飄々乎として空を踏み由布ヶ嶽の方へ昇り行つて其影を失った。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。