雁を殺した報いで手のない子
どんな伝承か
寛文十二年、尾張国熱田のあたりの山崎に住む者が、雁を籠に入れて飼っていた。夫が出かけた留守に雁が籠から抜け出したので、妻はそれを捕まえて羽をすっかりむしり、足をもいで殺してしまった。ほどなくこの妻がお産をすると、生まれた男の子には肩の骨はあるのに手が無かったという。親の殺生の報いが子の体に現れた因果の例として、見世物の因果物にまつわる話とともに『大和怪異記』に載る話である。
原典より
また、寛文十二年のこと、尾州熱田辺山崎の者、雁をかごに入れおきしに、夫他行の跡にてかごよりぬけたるを、…—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。