団地で仲良く暮らす犬とアフリカ猿
どんな伝承か
仲の悪い者同士をたとえて犬猿の仲というが、東京都日野市の多摩平団地に住む会社員原清の家では、その言葉が通じなかった。生後九か月の猿アイオーは、原の長男で川崎汽船祥川丸の乗組員である武人が、西アフリカのナイジェリア、ラゴスのアパパ港で現地の人が生け捕りにしたのを買い取って持ち帰ったものである。自宅で飼っていた二歳のワイヤヘア種の犬ハッピーに引き合わせたところ、初対面から意気投合し、互いになめたり抱きついたりする仲になった。アイオーとは現地の言葉で幸福を意味し、犬の名も同じ幸福だったという。
原典より
昔から、仲のわるい者同士を「犬猿の仲」という。—— 奇談千夜一夜(庄司浅水・現代教養文庫・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奇談千夜一夜(庄司浅水・現代教養文庫・1969年(昭和44年))
『奇談千夜一夜』は、庄司浅水が一九六九年に現代教養文庫の一冊として編著した世界の奇談集である。世界各地の奇習、難破船や蘇生の奇談、世界一の記録、奇妙な裁判や脱獄、奇人の逸話、珍しい動植物の話を、リプレーの『信じようと信じまいと』やストーラーの『驚くべきことだが事実だ』などを種本に集める。奇習・奇談・奇録・奇聞・奇人・動物と植物の部に分け、奇人の部はさらに四つに分け、各国の別れの挨拶を紹介する「さようなら」で結ぶ。