女から男に変わった十五歳の娘
どんな伝承か
函館市潮見台の下島三造の次女チョ(仮名)は、生まれたときは立派な女性であったので女子として市の戸籍課に届けられ、十五歳までそのまま通ってきた。ところが途中から両性の特徴が現れ、近ごろついに男になってしまったという。十四日、チョは父の三造とともに戸籍課を訪れ、娘を男に変更してほしいと願い出た。戸籍課は困り、権限が違うからとして、あらためて函館地方裁判所で性の鑑定を行うことになった。江戸時代に尾張の二十五歳の娘が急に男になったという話も裏書きされたと筆者は書く。
原典より
函館市潮見台の下島三造次女チョ(仮名)十五歳は、出産当時は立派な女性であったので、女子として市の戸籍課へ届出で、その年まで女子としてとおって来たのであったが、途中で両性になり、最近に至って男となってしまったので、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。