和佐沖のミサキに憑かれて腫れた男
どんな伝承か
ミサキは海で溺死した貴人の霊とも言われ、姿は見えずに話し声だけが聞こえるのが特徴である。島内のいたる所にミサキがいたが、森野村和佐の沖にも獰猛なものが一つ居たらしい。和佐に三十八、九になる男がいて、沖へ漁に行って帰ってから身体が腫れ出し、終夜ずきずき疼いて眠れない。医者に診せても訳の分からぬ病だと言われたが、手当がよかったのか一旦は治った。すると今度は股が腫れて歩けなくなった。シホーをする人に見てもらうとミサキが憑いて命を取ろうとしており、拝んでもらうと何事もなく治った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。