渡海船の翁が語る船幽霊の特徴
どんな伝承か
山口県大島郡の金井勘次郎翁は、生きていれば百歳近い高齢で、小さな渡海船を八十歳近くまで操っていた漁師である。翁はたびたび船幽霊に遭ったといい、船幽霊は夜でもはっきり姿が見え、向かい風なのに追い風のように帆をあげて近づいてくること、船から人の話し声が高らかに聞こえることなどを特徴として語っていた。船幽霊を払いのけるには「馬鹿」と言うのが一番よいという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。