四月十五日に海へ入らない海女の村
どんな伝承か
千葉県安房郡白浜町の隣の海女部落では、毎年四月十五日に館山のお宮さんへ参拝する習わしがあった。ある年、参拝からの帰り道、峠まで登って浜を振り返ると珍しく凪いだ日和で、仲間が惜しむ中、一人の海女だけが峠を下ってアワビ漁に海へ入り、そのまま戻らなかった。部落総出で海を捜しても影も形も見つからず、以来この部落では四月十五日に海女は誰も海へ入らなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。