映画バスから消えた老人と白い足
どんな伝承か
宮古島の城辺町新城で、報告の二十年ほど前にあった話。当時、夜十一時ごろ出る最終バスは映画帰りの客が多く、映画バスと呼ばれた。バスが城辺町役場を過ぎたころ、老人が手を上げて乗り込んだ。二子山を見下ろすナンコージにさしかかると、鶏が羽音を立てて前を横切り、続いて白い足だけが道をぱたぱたと走っていくのが見えた。運転手は夢中で追ってスピードを上げ、乗客にたしなめられて我に返った。新城に着いて老人に声をかけると姿はなく、翌日、老人が前夜に亡くなったと知らされたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。