新幹線工事に揺すられた地蔵のたたり
どんな伝承か
昭和五十年から五十七年にかけての話。上越新幹線の上毛高原駅と越後湯沢の間、さんてい峠へ向かう途中に、土地の人がおぎょう様と呼ぶ地蔵が今もある。新幹線の工事ではこの地蔵のすぐ下に大穴が掘られ、建設機械が地蔵を揺さぶり続けたので、村人はきっと罰が当たると噂し合った。はたして建設会社のプレハブが五棟焼ける大火事が起き、月夜野トンネルで三人、大清水トンネルでは十六人もの工事の犠牲者が出た。さらに開業して列車を走らせると、長いトンネルを抜けたところで列車が火を噴いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。