熊ノ湯温泉近くの雪夜に灯る青白い光
どんな伝承か
スキー客を乗せて東京から志賀高原へ通うバス運転手の、七、八年前の体験。客を迎えに一人で東京を出たが、大雪で熊ノ湯温泉の近くに着いたのは夜中の二時半だった。宿の人を起こすのも気が引け、後ろの座席で寝ようとしたが眠れない。やがてフロントガラスの前だけがぼうっと明るくなり、青白い光が消えずに光り続けた。対向車のライトでもなくチェーンの音もせず、車が来る場所でもない。零下二十度でエンジンが止まったら凍えると案じて一睡もできずに朝を迎えたが、光の正体は今も分からない。付近には池が多いので何かあったのではと思うという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。