丑の刻に子の霊が並ぶ寺
どんな伝承か
せんどうさんという人が、もらい子の男の子を五つまで育てたが、船に乗せていて川に落とし死なせてしまった。あきらめきれず、じさまとばさまが、死んだ人に逢えるという寺へ参った。丑の刻になるとカタカタと音がして子どもが列をなして現れ、いちばん後ろにその子の顔が浮かんだ。声を出すなと戒められていたのに、たまらず名を呼ぶと姿はふっと消えた。帰り道、寺で会った娘に「無事に着いたと家へことづけてくれ」と頼まれ、訪ねると翌日が葬式の家であった。教えられた野原へ行くと、地蔵のまわりを掃く子や団子を売る店があり、賽銭を上げてもらえないその子だけは何も買えずにいた。夜が明けると野原には大きな鉄釜が一つ残るだけだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。