寒さになって知らせに来た父
どんな伝承か
昭和五十七年六月十九日のことである。夜中に寒くて寒くて目が覚めた。気温は高いのに厚い掛け布団をかけてもまだ寒い。父が来ているのだと思い、「おじいちゃん寒いの、大丈夫よ明日きっと行くよ」と声をかけた。翌日、二百キロメートル離れた病院へ行った。ずっと昏睡状態だった父は、語り手が看病した夜に急に痰がからみ、次の日の早朝、一筋の涙を流して意識のないまま亡くなった。それまで二週間ほどは夫の姉が看病していたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。