墓の茶碗が割れて授かった子
どんな伝承か
昭和十年ごろの話である。茅ヶ崎市のある家で、六歳ほどの長男が七五三の祝いに宮で赤飯をもらい、二人で分けて食べたところ、その子だけが赤痢にかかって亡くなった。初めての子で長男でもあり、両親はどうしてもあきらめきれず易者に見てもらう。四十九日のうちに墓の茶碗が割れれば、男の子が生まれ変わって授かるという答えだった。母親は毎日のように墓へ通い、茶碗が割れるのを願って眺めていたが、はたして四十九日を待たずに割れた。そうするうちに母親は身ごもり、生まれたその子が三男で、今も健やかに暮らしているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。