馬に生まれ変わった故人の礼金
どんな伝承か
富山県滑川市で昭和初年頃、一周忌に親族が集まった際、その一人が急に亡くなった人物の簞笥を開けようとした。理由を尋ねると、死んだ自分は馬に生まれ変わったが飼い主が親切なので礼をしたい、簞笥の三番目の引き出しにある白の長襦袢の衿の芯に縫い込んだ金を渡してほしいという夢を見たのだと語った。実際に簞笥を開けると夢の通り長襦袢があり、衿にお金が縫い付けてあった。親族が夢に見た駅で降り馬の飼い主を訪ねると、親馬にじゃれる子馬がおり、近づくと嬉しそうに鼻をこすりつけたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。