ノッタまま戻らなかった春さん
どんな伝承か
男の子が数人庭に集まって輪になり、一人が輪の中に入って手拭で目かくしをする。まわりの者が手拍子を取って回りながら「あさ山、は山、羽黒の権現十日の稲荷」と繰り返し唱えると、中の子に霊がのり移り、空中高く飛び上がったり、皆の問いに答えたりする。この状態をノッタといい、元に戻すには地面に大きく犬という字を書いて背中を強くたたいた。明治のころ、近所の春さんという人がこの遊びでノッタ状態からなかなか戻らず、目かくしをしたまま飛んだり走ったりしたので、大勢で追いまわしてやっと取りおさえた。その後、この遊びはやめるようになったという。
原典より
これを繰り返しているうちに、なかの人に霊がのり移り、空中高く飛びあがったり、みんなの問いに答えたり、異様な行動をとる様になる。—— 渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。