豊川稲荷を呼ぶ箸と鏡のコックリさん
どんな伝承か
失せ物や心配ごとなどがあるとき、自分たちで稲荷を呼んで占いをした。これをコックリさんと呼ぶ。半紙に四十七のマスを書いてイロハ四十七文字を記し、箸三本の上部を糸で軽くしばって、その上に小さい鏡を下向きにのせる。三人がそれぞれ箸を一本ずつ指先で軽くつまみ、半紙の上にすれすれに浮かして持つ。このとき鏡は絶対にのぞいてはならない。部屋の戸をあけ「三州三河の国豊川稲荷大明神、急用ができましたのですぐ来てください」と呼び、「おいでになりましたか」と言うと、三人の手が自然に動いて「え」の字を指す。以後、失せ物の在処などを問うと、箸の先が動いて字をつぎつぎに指し、教えてくれたという。
原典より
すると、不思議にも三人の持った箸の先が動いて、書いてある字をつぎつぎに指して教えてくれる。—— 渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。