松合の海に落とした指輪の透視
どんな伝承か
明治四十一年の七月、義兄の勧めで深呼吸による精神統一を続けていた御船千鶴子は、宇土半島の松合の海で泳いでいるとき金の指輪を落とした。人々が集まって海の底を探したが見つからなかった。潮が引いてから、千鶴子は透視を試そうと石に腰を下ろし、深く息をして心を統一した。しばらくして目を開け辺りを見ると、二十メートルほど先に指輪がはっきり見え、行ってみると本当にそこにあった。指輪はほとんど砂に埋もれ、わずかに出た部分も貝殻が斜めに覆っていたという。同じ月に庭の梅の幹の皮の下の虫を見抜いたのが、彼女の透視の始まりだった。
原典より
しばらくして眼を開き周囲を見廻すと、二十メートルばかり離れた所に彼女の落とした指輪がはっきり見えた。—— 新心霊科学事典 ― 人類の本史のために(田中千代松(編)・心霊科学・超心理学 事典・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新心霊科学事典 ― 人類の本史のために(田中千代松(編)・心霊科学・超心理学 事典・1984年(昭和59年))
『新心霊科学事典――人類の本史のために』は、田中千代松が一九八四年に編んだ心霊科学の事典である。十九世紀半ばのハイズヴィル事件に始まるスピリチュアリズムと心霊研究・超心理学の用語、国内外の研究者・霊媒・研究団体を、多くの寄稿者の執筆による項目で解説する。巻頭の論説「人類の将来」、五十音順の「現象編」と「人物・組織編」、巻末の「総括と展望」とあとがきから成る。