夜ふけに田植えされた上安見のはかま田
どんな伝承か
『下益城郡誌』の伝えである。上安見の東南、浜戸川のほとりにある一段三畝二十歩の田は、もとは信行寺の持ち物であった。ある夜、大勢の者が提灯の明かりで田植えをしているのを見た者があり、翌朝そのことを寺で話すと、当寺ではまだ田植えをしていないという。寺主が調べてみると、誰の仕業ともわからぬまま苗がやたらに突き挿してあった。狐狸のいたずらかと、そのままにしておいたところ、変わりなく穂が出た。ところがいつまでたっても実らないので、やむなく刈り取って納めてみると、収穫は一反あたり十俵もあった。人々はこれを不思議がり、はかま田と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第14巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全75話(熊本・宮崎・鹿児島=南九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。