巡査が次々病む地蔵屋敷の駐在所
どんな伝承か
大正年間の大阪の新聞が伝えた話である。場所は北條警察署の管内で、加西郡の広原駐在所である。建ててから十年になるが、そこへ駐在を命ぜられた巡査は、どんな頑丈な者でもしばらくすると病気になり、それが年とともに激しくなるので、誰もが勤務を嫌った。村民の噂では、その敷地は元は地蔵屋敷と呼ばれ、数多の石地蔵や五輪塔があったのを、建築の際に無造作に取り除けた祟りだという。付近には今も首のない石地蔵や胴体の割れた石地蔵が転がっている。矢野署長は地質水質など科学的に調べたが何も出ず、結局駐在所を一町ばかり北へ移すことにした。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。