台所に下がる白い影と縁起のよい家
どんな伝承か
四谷坂町に田山水穂という保険の勧誘員が住んでいた。当時その町には友人の北島好孝もいて、田山がよく遊びに来たというから単なる噂話ではない。家は六畳一室に三畳二室と台所の付いた古い小さな家で、家賃は十五円、家主は同じ坂町の松本という材木店であった。大正八年のある夜、田山が便所に起きたついでに台所の障子を開けると、天井窓のあたりから白いぼうとした人の形をした物がぶらさがっていた。その後も同じことがあったので易者に相談すると、間取りを見て「この家には変死人があった、それも台所で首を縊ったものだ」と言い、続けて縁起は悪くない、ここにいるときっと金をもうけると引き止めた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話