秋葉大権現が乗り移った玉屋の小僧
どんな伝承か
名古屋の本町二丁目の玉屋に秋葉札が降ったが、惣町代は騒ぎを禁じていた。四、五日行方不明だった小僧の忠七が帰ってきてこれを聞くと大いに怒り、篝火で焼けた木をもって打ちかかった。惣町代が謝ると、今度は火中に入り、奉書紙に「秋葉大権現」と書いた。この小僧はふだん字を知らなかったので、それを怪しんだ者はたちまち気が狂ったという。惣町代が「馬のとう」という名古屋地方特有の祭礼を催すと忠七はようやく本性に戻り、祭礼の最後には町中一統の秋葉山参詣がおこなわれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。