初山の天狗龍文坊の正一位自称
どんな伝承か
神宮寺村の宮司山本金木は、近隣の神社の神号や神階の問題に強い関心を寄せていた。八月十九日には京都の小谷杢に書状を送り、神号に要る礼金を尋ねるとともに、瀬戸村の初山宝林寺にいる龍文坊という天狗が近年「正一位」を名乗っている件について、許しを与えた事実があるのかを問い合わせた。返事は、吉田家のあずかり知らぬことで、正一位の位は神代の神や造化の神に限られるというものだった。金木は土御門家などの不正を疑い、初山の小僧天狗に神階があってはたまらないと憤ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。