夢で幼時の経験を知る
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どんな伝承か
福来友吉が日本女子大学で心理学を講じていた頃、夢の経験について答案を募ったことがある。ある学生は在校中、故郷へ帰った夢を見た。訪ねた一軒の農家の庭に石碑があり、「古池や蛙飛び込む水の音」という芭蕉の句が刻まれ、周囲の樹や水の流れまでありありと見えた。その後の休暇に帰郷して初めてその農家の近くへ遊びに行くと、光景は夢と寸分違わず、石碑もあった。ただ句だけは「はたごの後の水の音」と少し違っていた。不思議に思っていると、乳母だった老女が訪ねてきて、彼女は四歳の頃に流行病で二ヶ月間乳母の家に預けられ、その場所へよく遊びに行ったのだと語った。当人は忘れていた四歳の経験が潜在記憶として残り、夢に現れたのだと解釈された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊の現象(福来友吉・明治四十三年~大正期)
本書『心霊の現象』は、明治~大正期の心霊研究者・福来友吉による学術的な心霊現象論である。著者は念写実験(長尾夫人、高橋夫人の事例)を通じて超常現象の実証を試み、潜在精神・潜在意識の存在と活動を科学的に検証する。また夢の神秘性、潜在記憶、死霊との接触、ヒステリー現象などを、催眠術やフランスの心理学実験(ジャーネー、シャルコー)の知見を引用しながら分析している。
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