透視に使った種板に現れた謎の感光
どんな伝承か
菊池君からの報告で、現像していない種板の撮影文字を長尾夫人が透視できると知った福来は、念のため十二月七日、心理学実験室で「天」と「三」を撮影し、黒紙に包んで郵送し透視を依頼した。十二月十四日、その透視も的中と報告された。ところが十二月十五日、二枚の種板を一度に現像したとき、撮影時に受けた感光のほかに、説明のつかない感光現象が現れていることに気づいた。箱も包み紙も光を透さぬのだから、これは透視の際の精神作用によって生じたものと考えるほかない。ならば一とか円とかの文字を念じて念力を送れば、その形の感光が種板に生じるのではないか――この突飛な着想が、念写という未曾有の現象発見の動機となったのである。
原典より
此の事は十二月十五日、二枚の種板を一度に現像した時に解つた。—— 心霊の現象(福来友吉) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊の現象(福来友吉)
『心霊の現象』は、福来友吉が数年来諸雑誌、とくに弘学館の『ニコニコ』誌に通俗的に書いた文章から、心霊問題にかかわるものを選んで編んだ小冊子である。明治四十三年から長尾夫人・高橋夫人を相手に試みた念写の実験の経過を詳しく記し、夢による知覚や治癒、潜在精神から生じる病やヒステリーの事例を挙げる。念写、希望のニコニコ、「我の能力」と人性、生命学と心霊研究、動物主義、夢、潜在精神、精神的養生の諸篇を収め、各篇を節に分ける。