大屋根から秋葉山へ飛ばされた夜
どんな伝承か
十月十四日の夕方、泰治が昨夜どうやって御山へ行ったのかと尋ねると、才一郎はこう語った。夜中に小便に起きると大屋根の上に七、八寸ほどの金色に光る物があり、大曾根に黄金の大黒天が降ったと聞いていたので、もしやと高塀に登ると、いつの間にか大屋根に上がり、そのまま空へ昇った。気づくと左右から一人ずつ手を取られ、後ろから腰を押されていて、耳がちぎれそうな音がし、髪は吹き上げられ、月も星も大きく見えた。そして秋葉山の神前の石の上に降り立ったという。
原典より
泰治昨夜は如何にして御山に行きしと問ひければ、夜前小便に行きしに大屋根の上に七、八寸廻りなる金光のもの有り、…—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。