女川源流の野営で消えた携行食
どんな伝承か
新潟県岩船郡関川村高田で荒川に合する支流を女川という。中流から急激に険しい谷が続く。著者は昭和五十七年ごろから、この源流部へイワナ釣りに入り、山中で二泊する野営を重ねてきた。初めての入渓から一〇年ばかりたったある晩、荷を軽くするため、フランスパン、ソーセージ、チョコレート、乾パンなど残った携行食をテントの周囲にばらまいた。翌朝、それはきれいになくなっていた。以来いつも同じで、一切れのパンくずも残らない。にもかかわらず、物音に気づいたことは全くなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。