猫のように甘えるミミズク
どんな伝承か
『ミミ公』は上野の山の産で、まだ副手だった兄が解剖室でつかまえて来たものだから、人肉を食べていたのかもしれないが前身は問わないことにしてあるという。野生のままでは自由に羽がのばせず気の毒だというので、父が大きな箱を作って一方に金網を張った。餌は鳥屋と契約して一日五銭ずつトリ肉を買い、猫が捕ったネズミも交換して与えた。オオコノハズクという種類でポー、ポーと鳴くだけだが、母がそばへ寄って『ミーミチャン』と声をかけると甘ったれた声でいつまでも返答をする。両眼の間を指でこすってやると全身でグイグイ押して来てオジギをした。ミミズクはトリという感じよりネコに近いと著者は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・昭和(戦後))
西丸震哉『山とお化けと自然界』を篇単位で収録。完全装備で岩小屋前を通過する遭難者の幽霊目撃、木曾御岳の人魂たち、カラステングがタコを食う、亡き兄との交信やテレパシー(死者との通信)、幽霊の仮説・怪談といった山岳怪異譚を軸に、呪い殺しの実験・雨やみの術・日蝕と雨やみの術などの呪術、山の昆虫・メスネコの生涯・ヤマネとムササビ・ミミズク等の自然観察、酒・山旅・会津の秘境/栗駒山密林などの紀行随想を収める。