窓を叩いて米をねだるスズメ
どんな伝承か
著者はアパートの二階の窓に米を出してスズメたちを呼びよせていた。朝早くから暗くなるまでぞろぞろと押しかけ、ヒナがかえるころには親スズメが口にくわえられるだけ米をふくんで巣と窓とを往復する。子スズメは一粒の米を一時間もかけていくつかにくだき、大人のスズメが他人であっても口を大きくあけて甘えれば米を入れてやる。米がなくなると窓のすぐ外を垂直に何べんも飛んで催促し、気づかずにいると窓ガラスをコッコッとたたいて知らせた。近くの泉岳寺のハトが十何羽も集まってスズメを追いちらすので、窓の手摺りに針金を渡してハトが入れないよう工作したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年))
『山とお化けと自然界』は、西丸震哉が旧著三冊を編み直し、一九九〇年に文庫版あとがきを付けた随筆集である。山や湿原の探検、チョウや小動物とのつき合い、酒の話とともに、横尾谷の岩小屋で出会った幽霊、木曾御岳の人魂、亡兄との交信、テレパシー、呪い殺しの実験、雨やみの術など、著者自身の体験した怪異をつづる。生き物・酒・山・兄との交信の四部からなり、あとがきに『未知への足入れ』『山だ原始人だ幽霊だ』『山の動物誌』を元にしたと記す。