猫のように甘えるミミズク
どんな伝承か
『ミミ公』は上野の山の産で、まだ副手だった兄が解剖室でつかまえて来たものだから、人肉を食べていたのかもしれないが前身は問わないことにしてあるという。野生のままでは自由に羽がのばせず気の毒だというので、父が大きな箱を作って一方に金網を張った。餌は鳥屋と契約して一日五銭ずつトリ肉を買い、猫が捕ったネズミも交換して与えた。オオコノハズクという種類でポー、ポーと鳴くだけだが、母がそばへ寄って『ミーミチャン』と声をかけると甘ったれた声でいつまでも返答をする。両眼の間を指でこすってやると全身でグイグイ押して来てオジギをした。ミミズクはトリという感じよりネコに近いと著者は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年))
『山とお化けと自然界』は、西丸震哉が旧著三冊を編み直し、一九九〇年に文庫版あとがきを付けた随筆集である。山や湿原の探検、チョウや小動物とのつき合い、酒の話とともに、横尾谷の岩小屋で出会った幽霊、木曾御岳の人魂、亡兄との交信、テレパシー、呪い殺しの実験、雨やみの術など、著者自身の体験した怪異をつづる。生き物・酒・山・兄との交信の四部からなり、あとがきに『未知への足入れ』『山だ原始人だ幽霊だ』『山の動物誌』を元にしたと記す。