ドテラの紐を結べない大学生三人
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どんな伝承か
その日たどり着いたのは、雌阿寒温泉という山中の一軒家で、国民宿舎兼ユースホステルであった。近くには針葉樹林に囲まれた沼があり、新雪をうっすらかぶった雌阿寒岳が林の上に寒々とした姿を見せていた。風呂へ直行すると、入れ替わりに三人の若者が上がっていった。人気がなくなった湯を心ゆくまで楽しんで脱衣場に戻ると、三人はまだ火の気のないところに突っ立っている。彼らは丁寧な言葉づかいで、このドテラの紐をどうやったらいいのかと尋ねてきた。人を馬鹿にしているのかと顔を見なおすと、すごい真剣そのものであった。あとで大学生と分かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・昭和(戦後))
西丸震哉『山とお化けと自然界』を篇単位で収録。完全装備で岩小屋前を通過する遭難者の幽霊目撃、木曾御岳の人魂たち、カラステングがタコを食う、亡き兄との交信やテレパシー(死者との通信)、幽霊の仮説・怪談といった山岳怪異譚を軸に、呪い殺しの実験・雨やみの術・日蝕と雨やみの術などの呪術、山の昆虫・メスネコの生涯・ヤマネとムササビ・ミミズク等の自然観察、酒・山旅・会津の秘境/栗駒山密林などの紀行随想を収める。
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