難破したノルウェイ船長の伝説
どんな伝承か
徳川時代の末、茨城県北端の大津港の沖でノルウェイ人の捕鯨船が難破し、ただ一人助かった船長が著者の父方の家に一年ほどかくまわれていたという。その間に家の一人娘だった父の曾祖母と船長との間に何かがあったらしく、家では婿養子を迎えて取り繕ったので、系図に船長の名は残っていない。著者は大人になってから母と兄たちの話を小耳にはさんで知ったが、問いただしても伝説だとはぐらかされた。のちに著者はノルウェイを訪ね、遠い祖先の土地を探したという。
原典より
父の曾祖母が若いころ、徳川時代の末期に、茨城県の北端にある大津港の沖でノルウェイの捕鯨船が難破したことがあったそうだ。—— 山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1990年(平成2年))
『山とお化けと自然界』は、西丸震哉が旧著三冊と雑誌の一篇「ワシは安禄山」を編み直し、一九九〇年に文庫版あとがきを付けた随筆集である。「自然界はもちつもたれつ」「酒」「山」「兄との交信」の四部に、チョウや小動物、山や湿原の探検、酒と温泉の話とともに、横尾谷の岩小屋の幽霊、釜石の幽霊、木曾御岳の人魂、呪い殺しの実験、雨やみの術など著者自身の怪異体験をつづる。あとがきに『未知への足入れ』『山だ原始人だ幽霊だ』『山の動物誌』を元にしたと記す。