片手片足斬りの沼に生えた片葉の葦
どんな伝承か
本所七不思議の一つ。いまの両国橋の近くにあった沼には、片側にしか葉のつかない葦が群れ生えていたと伝える。昔この沼のほとりで片手片足を斬り落とす仕置があり、その死体が沼へ投げ込まれた。斬られた者の恨みによって、以後そこに生える葦はことごとく片葉になったのだという。紹介者は、その沼はすでに失われていて確かめようがないと断ったうえで、もしその辺りに奇形の葦が生えてくることがあるなら、この話も事実なのかもしれないと書いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考2-本所七不思議(高橋敏弘・西郊民俗・1988年(昭和63年))
『怪異雑考2-本所七不思議』は、高橋敏弘が昭和六十三年に著し、『西郊民俗』第百二十五号に載った小論である。江戸本所に伝わる七不思議として、足洗い屋敷、片葉の葦、狸囃子、送りちょうちん、あかり無しそば、置いてけ堀、津軽家の太鼓を取り上げ、怪異の中身と伝承地を短く記す。各項に番号を振って並べ、末尾で七不思議が人から人へ伝わるうちに広まった事情を考え、あとに木村博の小文「『火柱』が立つ話」が続く。