壁で塞がれた図書館の中地下階
どんな伝承か
四谷図書館の前を通りかかったとき、案内板の裏に何のためとも知れない地下室があった。思い切って階段を下りていくと、ひどく黴くさい空間があり、長く閉ざされたままらしい木の開き戸が現れた。かかっていた錠も錆びついている。何のために作られた部屋なのかと気になり、今度は建物の普通の入口から回ってその地下室へ行こうとしたところ、そこには戸がなく、ただの壁になっていた。入口を塞いだ理由を係員に尋ねてみたが、誰ひとりとして知る者はいなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考5-東京妖異所の系譜(高橋敏弘・西郊民俗)
『怪異雑考5-東京妖異所の系譜』は、高橋敏弘が書いた連載「怪異雑考」の第五回で、『西郊民俗』第一二八号に載った小論である。渋谷の道祖神、駒形の狸の狛犬、泉岳寺駅の異変、四谷図書館の地下室、銀座・日比谷間の地下道の怪、明大前の顔のない地蔵、経堂の怪猫屋敷など、東京の街なかの怪異の場所を、筆者が訪ねて宮司や近所の人に聞いた話や新聞記事をもとに記す。七つの短い項に見出しを立てて並べ、祟りを鎮めるために祀られた神や地蔵のいわれを書きとめる。