地下道を追ってくる金色のつむじ風
どんな伝承か
四年ほど前の新聞に、銀座と日比谷をつなぐ長い地下道に妖怪が出るという記事が載ったという。銀座寄りの階段の下から金色をした一筋のつむじ風が湧き、その風の中に化けものがいて追いかけてくる。逃げれば風はいっそう速さを増し、つんのめりそうになりながら走って、地下道を抜けた日比谷の改札口までたどり着くと、化けものはすっと消えたというのである。目撃した乗客の一人が刑事だったことから話に信憑性があるとされ、新聞に載ったのだと紹介者は書いている。東京の地下街は夜ともなれば妖怪の蠢く魔界になっても不思議はない、とも記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考5-東京妖異所の系譜(高橋敏弘・西郊民俗)
『怪異雑考5-東京妖異所の系譜』は、高橋敏弘が書いた連載「怪異雑考」の第五回で、『西郊民俗』第一二八号に載った小論である。渋谷の道祖神、駒形の狸の狛犬、泉岳寺駅の異変、四谷図書館の地下室、銀座・日比谷間の地下道の怪、明大前の顔のない地蔵、経堂の怪猫屋敷など、東京の街なかの怪異の場所を、筆者が訪ねて宮司や近所の人に聞いた話や新聞記事をもとに記す。七つの短い項に見出しを立てて並べ、祟りを鎮めるために祀られた神や地蔵のいわれを書きとめる。