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羹に混ぜられた縁切り榎の皮

所在地東京都文京区本郷
登場根岸鎮衛、『耳袋』の記録者
出典西郊民俗 縁切り榎

どんな伝承か

本郷あたりに、繁盛していた一人の医師がいた。下女と深い仲になって家の内が傾いたので、妻は幼いころから世話をしてきた弟子に事情を打ち明ける。弟子は町へ出たおり、板橋に縁切り榎という木があり、その皮を与えればどんな仲もたちまち裂けると聞き込んできた。妻はそれを取ってくるよう命じ、弟子は板橋へ忍んで皮を剥ぎ取り、粉にして翌朝の羹へ入れた。長年仕える台所の男がこれを見咎めて主人に告げると、医師は膳についても羹に手を出さない。妻は腹を立て、毒と疑うなら自分が食べようと言って平らげたという。この一件を境に夫婦は破れ、妻は離縁された。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

西郊民俗 縁切り榎(長沢利明・西郊民俗シリーズ)

『西郊民俗 縁切り榎』は、長沢利明が東京都板橋区本町の縁切り榎について書いた民俗学の論考である。旧中山道板橋宿の榎が縁切りの神木とされた由来を、『新編武蔵風土記稿』や五十宮下向の際の注進書、身禄伝説、江戸の随筆と川柳、明治の講談本からたどり、樹皮を煎じて飲ませるまじないや小絵馬・祈願文の奉納、今の参拝のようすを記す。後半で足利の縁切り稲荷など各地の類例と比べて婚礼行列が避ける場所のタブーとの関係を考え、末尾に注と文献を付す。

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