浅草の年の市で売られた張子の男根
どんな伝承か
江戸の娼家では張子の男根を神棚に祀っており、十二月十八・十九日の浅草の年の市では、これが大道で堂々と売られていた。幕末にそれを見た彫刻家高村光雲の回想によれば、花柳界の客が縁起物として買っていくもので、上等のものは達磨と同じ張子で、大きいものは六尺もあった。底に鉛を入れて起き上がり小法師のように立つ作りで、買った者は人形に仕立てて担いで競うように運んだという。文化元年に幕府が売ることを禁じたが、明治の初めまで売られ続けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。