熊手市でにぎわう鷲神社
どんな伝承か
十一月の酉の日に立つ酉の市は、もとは市とは呼ばず「酉のマチ」といった。マチは祭のことである。鷲神社や大鳥神社の縁日にあたり、熊手市とも呼ばれた。江戸の酉の市の始まりは足立区花畑町の鷲大明神の祭礼だったといわれるが、今では浅草のお酉さまが百数十万という都内最高の人出を集め、二百軒もの熊手屋が並ぶ。この浅草のお酉さまが台東区竜泉寺町の鷲神社で、もとは鶏大明神と呼ばれていた。武運を祈る武士の神から、芸能人や花柳界、飲食店主の開運の神へと変わっていった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。