焼打田を買って没落した田原屋
どんな伝承か
『布部村史』に収められた「田原屋騒動」記によると、永禄九年に毛利元就に降った尼子義久の家臣に宇山飛弾守久信があり、その総領に、移住した地名から名づけられた田原屋がいた。田原屋は家運再興のため、人狐持ちであるとして組中の者から焼かれた安い焼打田を買った。焼打田は三分の一ほどの価格であったという。ところがそれが原因で家は再興ならず、一族からも絶交され、ついに没落したとある。田を買っただけで狐持ちの家とされたのだから、田にも狐の霊を認めていたわけである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。