藤代バイパスで消えた黒塗りの車
どんな伝承か
昭和三十八年十一月十九日の日曜、銀行の支店長が得意先の建築会社社長を誘い、運転を支店長代理にまかせてゴルフ場へ向かった。車は水戸街道を走り、葛飾区金町のあたりで脇道から割り込んできた黒塗りのクラウンとぶつかりそうになる。以後、二台は前後に続いて走った。松戸、柏を過ぎて藤代バイパスにさしかかったとき、百五十メートルほど先を行くクラウンが白煙とも水蒸気ともつかない気体を噴き出す。気体が車体をすっぽり包み、やがて薄れると、その車は影も形もなくなっていた。見通しのよい道で、脇へ逸れる道もなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が昭和四十五年に著した、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂の目撃、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、昭和四十年代の新聞・週刊誌の記事と著者の取材・面談で集めて収める。「信じられない体験」から「超能力の世界」までの五つの部に分け、巻末に機関誌などを入手できる心霊研究団体の一覧を付す。