佐屋町大井の田に舞う二色の人魂
どんな伝承か
昭和四十四年十月七日午前三時、愛知県海部郡佐屋町大井樫ノ木六六で農業を営む松川よね(六七)は、手洗いに立った折に窓から外の闇を覗いて仰天した。自宅から一〇〇メートルばかり離れた松川家所有の田の上を、オレンジ色をした人魂が上下左右に飛行していたのである。家人には信じてもらえなかったが、四日後の十一日午前二時ごろにも便所の窓からオレンジ色と青色の二つを目撃した。嫁のふさ子と長女の澄恵、田のすぐ前に住む村井仙太郎夫妻も確かめ、目撃者は五人となった。二十日午前三時には張り込んだ寺村真人らも目撃している。
原典より
稲はたわわに実って刈入れを待つばかりであったが、その田の上をオレンジ色をした人魂が上下左右に飛行していたのである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。