葬式を望んだ水子の霊と空葬式
どんな伝承か
大阪の中小企業の社長太田黒信一は胃がんにかかり、医者からあと半年の命と見放された。あわてた妻が能勢の妙滝寺へ連れて来ると、取り憑いていたのは意外にも、妻が最初に身ごもり六か月で生まれた水子だった。葬式も出さずに埋めたその子の霊は、人は死ねば葬式があるのに自分だけ無くて肩身が狭い、父が死ねば葬式が見られるから早く死んでほしい、と訴えた。住職が、それなら改めてお前の葬式を出してやろうと霊を納得させ、人形を棺に納めた空葬式を営むと、胃がんは不思議にも治ってしまったという。
原典より
こうして人形を棺に入れた空葬式を出してやったところ、不思議なことに胃ガンは治ってしまったのである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。