背に犬の毛が生えた娘
どんな伝承か
鹿児島県の農家に生まれた女性(二十三歳・仮名で春田美子)は、小学四年のころ背中に小さなあざができ、一年後にはこぶのように盛り上がった。六年生で鹿児島市民病院の手術を受けたが、切り取ってもまたこぶが盛り上がり、そこへ剛毛が生えてきた。三年間に七回切開し、鹿児島大の付属病院でも手術を受けたが、皮膚が皮革のように硬く同じ結果だった。人目を避けて二十歳で大阪へ出て、今は神戸の工場で働きながら大阪赤十字病院へ通う。背には五センチもの茶色の毛と肉塊が垂れ、獣毛母斑のほかレックリングハウゼン氏病と診断されたという。
原典より
肉体に異常が認められたのは、小学校四年生のころで、それは背中の小さな痣であったが、一年後には瘤状に隆起していった。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。