浄源坊の霊との交信と電車での目撃
どんな伝承か
浄源坊の死から約二か月後、著者が蹴上の寺で位牌を拝んでいると、夕方にあたりが暗くなり、仏座の前に浄源坊が横向きに立って合掌し名号を唱えていた。霊界のことを話してほしいと頼むと、話せぬことはないが話したくないと答えて消えた。中川氏は霊には秘語があると説き、呼吸を数えて心を静める数息の法を教えた。のち著者と中川氏、世話係の老婆おかよの三人が寺へ向かう電車に乗ると、向かいの腰掛けに浄源坊が膝に手を重ねて座っていた。三人で名を呼ぶとこちらを見つめたが、電車が角を曲がった拍子にふいと消えた。
原典より
ちょうどその時、電車が角をぐるりと曲って車がぐらぐらッとしたがその拍子に、今迄いた浄源さんの姿は俄かにふいと消えてなくなった。—— 霊界五十年(長田幹彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。