波長を合わせる幽明の交通
どんな伝承か
幽明の交通ができるかという問いは、これまでの実例を認めれば自ずと解けると講演者は言う。交通ができるからこそ霊魂の存在が知れるので、両者は切り離せない。実例なら十倍にも百倍にも増やせるが、大切なのは数より質であり、人の講釈を聞くより自分で体験するほうが早道だと勧める。ではどうすれば通じるのか。ラジオの装置と同じで、他界の住人と人間とが互いに歩み寄って波長を合わせるからだという。人の側でなすべきことはひとえに精神統一の実修で、極度に合理的で厳正な統一を行うほかに道はない。何の準備もなく心霊問題に関わるのは失望と大怪我のもとだと戒めた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊縦横談(浅野和三郎・心霊縦横談 第一輯)
『心霊縦横談』は、浅野和三郎が心霊研究の立場から書いた論説と講演を集めた論集である。大正十五年二月の日付をもつ論説や、昭和三年の大連、昭和五年の大阪での講演記録を収め、科学と心霊現象、宗教と科学、予言の事実と理論、信仰の自由などを論じ、類似宗教の流行や禅僧の言説、ラジオの「朝の修養」の題材選びへの批判にも及ぶ。長めの論説・講演に短い時評を続けて並べ、一部の篇の末尾に日付と講演の場所を記す。