吉平さんの影を食った牛鬼滝
どんな伝承か
和歌山県の日置川の上流、宮城という土地に牛鬼滝と呼ばれる滝がある。昔、吉平さんという男がこの滝で釣りをしていたところ、滝壺の真ん中に大きな牛が姿を現し、吉平さんの影を食べてしまった。影を食われた吉平さんは真っ黒に焦げて死んだといい、それ以来この滝では誰も魚を捕らないと伝わる。この地方の牛鬼は赤い角を持ち、足音を立てず、壁にぶつかっても音がしない、ゴムのように柔らかなものだったとも語られている。著者は角川書店『日本伝奇伝説大事典』からこの話を引き、人の影を食う珍しい鬼として紹介している。
原典より
また同郡日置川町の日置川上流、佐本村大字宮城に牛鬼滝があり、昔、吉平さんという人がそこで魚を釣っていると…—— 黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年))
『黄昏綺譚』は、高橋克彦が連載をまとめ、一九九六年七月付のあとがきを付したエッセイ集で、吉田光彦の挿絵と組んだ画文集である。著者が体験し見聞きした分身や生霊、寺での怪異、前世、UFOなどの不思議と、史料や神話に残る怪異、宮澤賢治をゴッホの生まれ変わりとみる考えを語る。「この世に幽霊はいる」「不思議な話が史料や神話に」「宮澤賢治はゴッホの生まれ変わり!!!」の三部に分かれ、巻末にあとがきと丸尾末広の解説「黄昏るペン」を収める。