白木山の牛鬼と平四郎の許しの弾丸
どんな伝承か
徳島県海部郡牟岐町西俣の白木山には牛鬼が棲み、麓の集落を襲っては人畜を喰らうため恐れられていた。猟師の平四郎が難儀を除こうと山に分け入り、平という場所で笛を吹くと牛鬼が現れて襲いかかった。平四郎は京都の吉田家から授かった『許しの弾丸』を鉄砲に込めて撃ち、見事命中させた。牛鬼は西俣北方のタナ岩下の牛鬼淵まで逃れて力尽き、その血は河内川(現在の牟岐川)を七日七夜、深紅に染めたという。血の流れは平四郎の住まいに近い牛屋淵まで達すると急に川上へ逆流し、家には何の祟りもなかったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。