白木山の牛鬼を撃った平四郎
どんな伝承か
徳島県海部郡牟岐町の白木山には牛鬼という、顔は鬼、体は牛という恐ろしい獣が棲み、里へ出ては人や家畜を襲って食べていた。そこで鉄砲の名手・平四郎が牛鬼退治のため白木山に入り、刻限を計って呼子の笛を吹くと牛鬼が現れて襲いかかってきた。平四郎はイスノ木を楯にして用意していた許し弾で撃つと、さすがの牛鬼も牛鬼淵で倒れた。その血は一里下流の牛屋淵まで七日七夜流れたというが、平四郎の武威によって川上へ逆流したと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。