平四郎の白木山牛鬼退治
どんな伝承か
昔、牟岐の白木山に牛鬼という、顔は鬼で体は牛の恐ろしい獣が棲んでいた。西又のあたりへ出ては人や家畜を食うので、里人は夕方以降外へ出ず、家の周りに矢来を組んで備えた。字平野に住む猟師平四郎は鉄砲の名手で胆力もあり、川添家の七代前の祖にあたるという。平四郎は白木山に入り、呼子の笛で牛鬼をおびき出すと、イスノ木を盾に秘伝の弾で撃った。牛鬼は牛鬼渕で倒れ、その血は七日七夜河内川を流れ下ったが、平四郎の武威で逆流したと伝えられる。川添家の裏山にはイスノ木の下に牛鬼塚があり、毎年正月に藁束と神酒を供えて牛鬼を祀る。牛鬼の背骨といわれる骨も西又に残っていたという。
原典より
<柳田―「牛鬼渕」>昔、白木山に、牛鬼という顔が鬼で体が牛というでかい怖ろしい獣が棲んでおった。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。