炭焼長者と炭がまいっぱいの小判
どんな伝承か
昔、奥山の炭焼きが三十両を懐に女郎買いに出かけ、高尾という女郎を選んだ。褌の中に包んで来た金を差し出すと、高尾は汚くて臭いと言い、二階から下へ放り投げてしまった。怒る炭焼きの前に、高尾が一分、二分と金を出して見せると、炭焼きはこれくらいの金なら自分の炭がまへ行けばいくらでもあると言った。そこで二人で炭がまへ出向くと、カマギいっぱいに小判が詰まっていた。炭焼きはこれを元手に大金持ちとなり、高尾と一緒に安楽に暮らしたという。星越の軒原さつきが語った昔話である。
原典より
そこで高尾は炭焼きと一緒にその炭がまの所に行って見ると、カマギに一杯の小判があったそうな。—— ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか)
『ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌』は、武田明・高橋克夫らが香川県長尾町の前山地区の暮らしを記した民俗誌である。祭りの項に続く「口承文芸」の項を昔話と伝説・世間話に分け、昔話は星越・大多和・譲りはの古老の語りを話者の名を添えて土地の言葉のまま書きとめる。伝説と世間話には中津・大多和・ゆずりはなどの天狗石や川女郎、首切れ馬、桂洞法印の化物寺の話を収め、項の末尾に執筆者の名を記す。