石神池の堤で出会った山犬に土下座
どんな伝承か
昔、星越の人が塚原へ出かけ、その帰りに石神池の堤のまわりを通ると、大きな山犬さんに出くわした。恐ろしくなって大石のほうへ道を変えて戻ろうとしたが、今度は道の真ん中に山犬さんが寝そべっている。その人は、家へ帰らなければならないのでどうか通してほしいと頼み、わらじを脱いで土下座し、山犬さんに頭を下げた。すると山犬さんは向こうへ去っていき、その人は無事に家へ帰り着いたという。
原典より
そこでその人はわれは家へ帰らないといけないのでどうぞ通して下されといって、わらじをぬいで、土下座して、山犬さんに頭を下げた。—— ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか)
『ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌』は、武田明・高橋克夫らが香川県長尾町の前山地区の暮らしを記した民俗誌である。祭りの項に続く「口承文芸」の項を昔話と伝説・世間話に分け、昔話は星越・大多和・譲りはの古老の語りを話者の名を添えて土地の言葉のまま書きとめる。伝説と世間話には中津・大多和・ゆずりはなどの天狗石や川女郎、首切れ馬、桂洞法印の化物寺の話を収め、項の末尾に執筆者の名を記す。